楽しみにしていた「いぬやしき」を見てきました。
結果は…う~ん、そうですね。サービスして80点。
正直90点レベルを期待していたので残念です。
序盤の印象としては、かなり原作漫画を忠実になぞっているかんじでした。
2時間20分の大作だし、だったら要所は全部盛り込まれているんだろうなーと期待して見ていたんですけど、違いました。
肝心な部分が割愛されてます。
5月連休のお子様向けにアク抜きした、「鉄腕アトムのような」無難な感じに仕上がってますw
【残念1】犬屋敷が違う.
木梨さんは、安定した演技で、とことん無能で何一つ反論できない間抜けな老人を演じてます。
これが違う。
犬屋敷さんはとことんまじめで善意にあふれてます。家族に馬鹿にされても反論もしません。
でも心の中では「何かが間違ってる」という強い意地と、血が出るような正義感を持ってるんです。
そういう心に秘めた「覚悟」や「凄み」が感じられません。
バラエティーのノリではなく、内に秘めた性格を真剣に演じてほしかった。
それが後半で生きてきたはずです。
【残念2】鮫島が出ない。
漫画本の1巻と2巻だけを読んだわたしがいちばん手に汗握ったのは、極悪非道の鮫島が出る場面です。
ヤクザの大幹部の鮫島は、好みの女を拉致しては入れ墨を彫り、シャブ漬けにして性奴隷、死んだらポイの絵に描いたような悪の権化。
サウナのエピソードも、やりたい放題、傍若無人の鮫島をよく表していました。
パン屋に勤める ふみの は取り柄のないサラリーマン悟と純愛中。そのふみのの美貌に目を付けた鮫島は…
蛇に睨まれたカエル。息の詰まる絶体絶命の窮地で、二人を守り切ろうとする犬屋敷。
犬屋敷と鮫島の決闘は正義と悪の正面衝突。
そのあと数百人のヤクザ幹部を一人残らず再起不能にする殲滅シーンも含めて、勧善懲悪の大きな見せ場です。
宇宙船爆発時に宇宙人が「使ったらこの星が滅びます…」と言ったとおり、「兵器ユニット」の残酷な戦闘能力を如実に表す鮮烈な場面でした。
悪とは。
善とは。
兵器とは。
人間の条件とは。
戦争にも似て正義とは何かを考えさせられる極限の場面でした。これがない。
R15にしてでも、バイオレンスを残すべきだったかと。
極悪人こそ、正義のヒーローの立役者です。
【残念3】ラストが感動できない。
原作とラストを変えるのはいいです。
でも原作では、身を捨てて地球を守ろうとする犬屋敷を、お母さんも麻里も号泣して止めたんですよね?
冒頭の 家に着いた場面と対照的な、犬屋敷への心境の変化。
…そして地球は救われ犬屋敷と皓がいないもとどおりの日常へ。
でも前と違うのは二人が心ある人たちの中に永久に生き続けていること。
そういう感動的な大団円がありません。
いなくなってからも人の心に生きて 行動を変え続ける、それが真のヒーローではないでしょうか。
ラストに朝食のテーブルで麻里がお父さんの方を見て、「お父さん、ちょっと見直したヨ」みたいな表情で終わり?
ちょっとなー、カタルシス(心の浄化)がなー。なくて困るー。
【よかったこと】
二階堂ふみちゃん、自然な演技がよかった。仕草が可愛くて存在感がありました。
でも ほかの映画レビュー見ましたら、「全部よかった。二階堂ふみだけがわざとらしい髪型としゃべりで浮いていた。」というレビューがあって、あんまり真逆で笑ってしまいました。
人の感じ方って、いろいろですね(^_^;)