自転車のパンク修理と虫ゴム~ヤマモトサイクルの謎

半年に一度パンクする自転車

うちの次男は今高校生で、列車と自転車で高校に通っています。

その次男のことで、ひとつ困っていることがあるのです。それは自転車をよくパンクさせること。最近では半年に1回くらいの頻度でパンクするようになりました。

駅から高校までは2㎞半くらいありますので、歩けば45分くらいかかります。

剛力の背荷物のように重い通学リュックで歩いて登校や下校するのはけっこうな苦行です。暑い日や雨の日なら、なおさらです。それだけでヘトヘトになってしまうでしょう。

「早めに学校の空気入れを借りて空気を入れなさい」というのですが、「最近は1カ月に1度くらい定期的に空気を入れるように気をつけているけどパンクする」といいます。おかしなことです。もしかしたら、学校近辺にパンク魔でも居るのでしょうか。

通学路にはあいにく自転車屋さんがありません。

次男が自分で持ち込めれば1500円くらいで直してもらって対応も楽ですがそれができません。

学校は隣町なので、親が軽トラで移動してホームセンターなどに持ち込んで、修理後また取りに行くなどもけっこう大変なのです。

ヤマモトサイクル

ところがよくしたもので、市内にはヤマモトサイクルという出張自転車屋さんがあって、スマホ一つの連絡で出張修理して直してくれるのだそうです。半日後か一日程度で直してくれるので便利と評判なのだそうです。長男も高校の時よくお世話になっていました。

学校でも駅でも「どこらへんにあります。こんな特徴の自転車です。」とさえ言っておけば半日か翌日には直っているのです。

そのかわり、料金は高いです。一律5,500円を取られます。

家の自転車も…

わたしの家にも3台の自転車があって、ほとんど使わないのですがよくパンクします。

1年に1台はどれかがパンクするかんじです。

軒下にあるので、後輪が日光に晒されているのでゴムが劣化するせいかなと思っていました。

家の3台もどうかと確認してみたら、半年前にパンク修理したばかりなのに、いつのまにか別の1台の前輪が空気が減って、しかも空気入れで入れてもすぐ抜ける状態になっていました。

ホームセンターで1500円ほどかかるのも痛いですが、軽トラで持って行ったり回収したりの手間もたいそうめんどうなのです。

軽トラに積もうとしたら雨がぱらぱら降ってきて、濡れた自転車を持ち込むのもアレなのでまたにしようと部屋に帰ったとき、思いました。

家の自転車は使いもしないのに、なんでこんなにパンクするんだろう。

通学路はきれいな舗装路なのに、どうして子どもの自転車はしょっちゅうパンクするんだろう。

そもそも本当にパンクなのか。何かほかに原因があるんじゃないのか。

そのときふと、前にホームセンターにパンクに出したときに自転車部品の所にあった、「虫ゴム」というパーツを思い出しました。キャップと短いマカロニみたいなゴムが数本入って50円くらいの商品です。あれはなんなのだろう。

わたしはものぐさなので自転車のパンクを直したこともなく、自転車タイヤの構造もわかりません。どうせパンクなど素人の手には負えないと諦めていたのですが、「虫ゴム」という商品にはなにか惹かれるものがあったのです。

空気を入れる仕組み~英式バルブ

この際ちょっと勉強してみようと自転車の空気を入れる仕組みを調べてみました。

3種類のバルブ形式

自転車の空気を入れる仕組みがバルブです。

バルブには英式、米式、仏式の3種類があります。

英式はママチャリや一般的な自転車のほとんどに使われている単純で扱いやすい仕組みです。

米式はロードバイクや自動車などに使われている空気圧が安定しやすい仕組みですが、取り扱いがやや難しいです。

仏式はあまり関係がないので省略します。

英式バルブ

子どもや家の自転車は全て英式バルブです。

1888年にイギリス人のジョン・ボイド・ダンロップによって発明されました。タイヤの原始形です。

英式バルブは、下部が10ミリのリムナットで固定されており、上部は指で回せるトップナットで固定されています。

空気挿入口には通常ゴムかプラスチックの「キャップ」があり、バルブ内にゴミやほこりが入るのを防いでいます。

トップナットを外すと中にある「虫」と呼ばれるバルブの本体が出てきます。「虫」は空気挿入口から空気がチューブに入る2穴出口までの部分です。

2穴出口には「虫ゴム」と呼ばれる長さ2センチくらいの細いマカロニのような部品が差されています。「虫ゴム」によって、空気を入れるときには2穴出口付近の虫ゴムが膨らんでチューブに空気が入り、そのあとは2穴出口を虫ゴムがピタリと塞ぐことによって空気の流出を防ぎます。つまり、虫ゴムの伸び縮みが弁の役割をしています。

英式バルブは単純な構造で扱いやすい反面、虫ゴムの劣化により短期間でタイヤの空気が抜けやすいという欠点があります。虫ゴムは通常1~3年で劣化し切れたり、全部が外れたりします。ですから1年に1回くらい定期的に虫ゴムを取り替える必要があります。

虫ゴムの交換

劣化した虫ゴムの交換はこうです。

①ホームセンターなどで虫ゴムを買ってくる。キャップと虫ゴム4本で50円くらいで売られています。

②バルブのトップナットを指で回して外します。とたんにタイヤは空気が抜けて、パンク状態になります。「虫」を取り出すと、2穴出口の部分の虫ゴムは劣化して切れているか、ほとんど外れた状態になっています。劣化した虫ゴムをきれいに剥がします。

③新しい虫ゴムを、2穴出口の下から上の広がった部分まで差します。この時、ゴムの抵抗で差しにくいので、「虫」の下の差す部分を唾か水で濡らします。(潤滑材は虫ゴムを痛めて寿命を短くするので使いません)

④虫をバルブに差し直して、トップナットを指で回してしっかり締めます。

⑤空気を入れると、タイヤはしっかり膨らんで空気は漏れません。

虫ゴムの交換をしてみることで、英式バルブでは虫ゴムの定期交換が命だということがよくわかりました。

虫ゴムの交換は最初は5分ほどかかりますが、慣れれば1分でできるでしょう。できなかったことが自分でできるようになるのは、とても楽しいものです。

こんなことも知らずになんでもパンクしましたと、手間暇かけて高額の修理に出していた自分がバカでしたw

スーパーバルブ

英式バルブには虫ゴムの劣化と定期交換という欠点があります。いくら簡易で優秀なシステムとは言え130年間何の進歩もなかったというのは不思議ですよね。

実は、スーパーバルブという虫ゴムを使わない「虫の進化形」の金属部品がすでに発明されています。

スーパーバルブ(虫の進化形)に交換すれば、虫ゴムの交換から解放され、何年間も‘パンク知らず’で過ごせます。

スーパーバルブはなんとわずか150円程度で販売されているようです。

ではなぜスーパーバルブも、それ以前に虫ゴムの知識も、自転車教室などで周知されないのか。

それは、”パンク修理”がなくなると自転車店がみんな潰れてしまうから だそうです。

ヤマモトサイクル再び

わたしは出張修理のヤマモトサイクルの話を聞いたとき、パンクの出張修理なんて、単価が高いとは言え手間がかかるだけで件数も少なく儲けも少ないだろうにご苦労なことだと思っていました。

それでも店舗だけでは儲からないからそうでもするしかないのかと。

でも自分で虫ゴム交換してみて、少し考えが変わりました。

ヤマモトサイクルは入学式等で出張修理を宣伝して近隣の高校で各200名くらいの生徒顧客を持っているようです。また、出張修理はヤマモトサイクル以外に手がけていないようですから独占状態です。

店舗は市の中心部にありますから近隣5校がエリアとして約1000名の顧客。

全員が次男のように年に2回”パンク”するとして@5500×2×1000=1100万円。虫ゴム代10円と移動・連絡コストが100万円としても、1000万円は残ります。

店舗の販売・修理収入に加えて、一日に5,6回、おそらくほとんどは虫ゴム交換という”1分仕事”をするだけで、1000万の収入があるのです。しかも現金のやりとりで。

思ったより効率的で莫大な収益を生むビジネスモデルではないですか。

不思議なのは1~3年寿命の虫ゴムがなぜ半年ごとに計ったように劣化するのかですが。

100均などの耐久性の低い虫ゴムを使って潤滑材で安易に作業をすれば半年ごとの劣化サイクルになるのかも知れません…。

いずれにしても日本はすでに大多数が貧しい総下流社会になっています。

安易に業者任せにしないで、自分で調べて考えて生きねばならない時代だなあとつくづく思いました。

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