Wi-Fiの5GHzが切れるのは、レーダー波の干渉だった

Wi-Fiが切れる

うちは農家造りの2階建て。

Wi-Fi設置当時の部屋配置の関係で、1階の西端の台所にWi-Fiのルータを置いています。

パソコンも以前は同じ台所に置いていたので電波強度は十分で、Wi-Fiの接続になにも問題はありませんでした。

でもそのうち2月~3月の確定申告作業の際には、台所の反対側東端の2階のテレビ部屋にパソコンを移動して作業をするようになりました。

大きいテーブルと広い畳に資料を広げると作業がはかどるからです。

そのうち、2階にパソコンを置くことが常態化しました。

そうするとWi-Fiルータとパソコンは階も違うし位置も反対側になり、Wi-Fiはかなり届きにくくなりました。

ルータのある台所には干渉する電気機器が山ほどある上に、壁、扉、階段、天井…2階のパソコンの部屋までは障壁だらけで距離もあるからです。

電波はWi-Fiのアンテナ4本のうち1~2本が立つ程度で、1日の内の50%くらいの時間帯しか届きません。

当初は確定申告の時期にどうにか使えればいいと思っていましたが、2階がパソコンの定位置になってしまうと、「常時Wi-Fiの電波を届かせて、ネット環境に浸りたい」と思うようになりました。

ルータの置き場所を1階の中央に近づけようと思っても適当なスペースがないし、ルータを2階まで配線するのは経費がかかる上に他の子機(スマホやタブレット、テレビなど)に不利になることも考えられ、やり直しもきかないので面白くありません。いろいろ模索しました。

ある日エディオンに行ってみると、NECの新型ルータは電波強度は変わらないもののメッシュ技術とやらで2階の届く範囲もわずかに広くなると外箱に図示してありました。

わたしはWi-Fiの速さは問いません。2階のテレビ間に長時間電波が届きさえすればいいのです。

「7年ぶりにルータを買い換えれば済むのではないか?」

わたしはそう思って、NECのメッシュ式最新型ルータAtermWG2600HSを5月に買ってきました。昨年の秋に出た機種で、売値1万円ほどが、優待で8千円ほどで買えました。

スピードは最速の機種ではありませんが、電波の届く範囲がメッシュ技術で若干拡張する新製品のようです。

新ルータ NEC Aterm WG2600HSを買ってみたが

新ルータを使用してみましたが、想定に反して状況はあまり変わりません

電波の届く時間は、1日の内の60%くらいとわずかに改善。

電波強度はアンテナ4本の内1~2本が立つ程度と変わりません。

8千円も掛けたのに正直がっかりです。とても期待どおりとは言えません。

帯域別の切り分け~2.4GHzと5GHz

そのうち、WG2600HSのWi-Fi通信状況を観察していると、つながる、つながらないに帯域別の違いがあることに気づきました。

Wi-Fiの帯域には旧式の2.4GHz(速度は遅いが障害物や干渉に強く長距離届く)と新式の5GHz(速度は速いが障害物や干渉に弱く短距離しか届かない)があります。

WG2600HSはそのいずれかを自動的に選択し電波を取り込みますが、つながらないときパソコン画面の右下のタスクトレイにあるのWi-Fiアイコンをクリックして帯域別に確認すると、電波強度と通信状況に大きな違いがあるのです。

2.4GHzの通信状況

アンテナ4本のうち常時1~3本が立ち、スピードは並ですが100%つながります

わたしは速度は気にならず常時つながっていれば満足ですから、2.4GHzのときはまったく問題がなく、理想的です。

5GHzの通信状況

アンテナ4本のうち1本でつながるか、地球マーク(不通)になル程度で電波強度は極めて微弱です。でもルータとパソコンの位置関係と5GHzの特性から、電波が微弱なこと自体はしょうがありません。

つながる時間帯が1日の60%程度。このことが問題です。

以上の切り分けで、Wi-Fiの不通問題は5GHz帯域のみの問題だとわかりました。

自動選択で2.4GHzとなる時間帯と5GHzとなる時間帯は、ほぼ半々です。1日中、2.4GHzを選択してくれたらいいのにと思いましたがそれはできないようです。

ルータがなぜわざわざ2階のパソコンで不利な5.0GHz帯域を1日の半分も選択するのかはよく分かりません。

でも、スマホやタブレット、テレビ等のWi-Fi子機は1階でも使っている訳です。

ルータが「電波強度がある1階なら速度も早い5Ghzを選択しよう」と判断して5.0GHzを選択している可能性はあります。

その判断が1階では有効なのですが、2階では「パソコンがつながらない」結果になっている訳です。

5GHzの不審な挙動

5GHzの特性から、2階のパソコン部屋で2.4GHzより電波が微弱なことは致し方ありません。電波が微弱でもつながればよいのです。

問題は5GHzで起こる長時間の切断です。

そう思いながら5GHzのときの電波受信状態をよく観察すると、不思議な挙動をすることを見つけました。

パソコンにはWi-Fiのアイコンが2個あります。パソコン画面の右下のタスクトレイにあるWi-Fiアイコンは、ルータと子機(パソコン)との通信状況を表します。

そのアイコンを押してポップアップするSSID(ネットワーク名)のアイコンは、そのネットワークの電波強度を表します。

通常、電波強度の強さはそのまま通信状況の良さとなります。電波強度大→通信良好となるのです。2.4GHzのSSIDではまさにそうでした。

ところが5GHzのSSIDについて電波強度と通信状況を比較すると、電波強度はアンテナ1~2本で悪くないのに、通信状況がいきなり不通(地球マーク)になる、そしていきなり受信状況と同程度に回復することがありました。

これは電波の受信状況以外の要素で切断・回復が起こっていることを意味しています。

切断の原因はレーダー波

どういうことかと思って、「Wi-Fi、5GHz、切れる」でググったら衝撃の記事を見つけました。

Wi-Fiはレーダー波を検知すると止まる

要は、5GHzの電波の3帯域のうち2帯域は、気象レーダー、航空レーダー、軍事レーダー等の干渉を受ける。レーダー波の都合で、レーダー波確認のため1分間切断したり、レーダー波優先のため30分間切断することが電波法で決まっているため、すべてのWi-Fiルータの仕様はそう設計されている、いう思いがけない内容です。

具体的には、下記のとおりです。

2.4GHzの帯域

1~13CHの13個のチャンネルがあります。

5GHzの帯域

大きく3つの帯域に分かれ、合計19個のチャンネルがあります。

①W52周波数帯:36,40,44,48の4ch(レーダー波の影響を受けない)

②W53周波数帯:52,56,60,64の4ch(レーダー波の影響を受ける

③W56周波数帯:100,104,108,112,116,120,124,128,132、136,140の11チャンネル(レーダー波の影響を受ける

ルータ設定の手順(NEC Aterm WG2600HS)

そういうことであれば5GHzの不審な切断・回復がレーダー干渉によって起こっていた可能性が大きいです。

逆に言えば、ルータの設定で切断しない5GHz帯域(レーダー波の影響を受けないW52周波数帯)を選べば5GHzの通信は改善するはずです。

NECのAtermには「クイック設定Web」というルータ設定のツールがあり、それで細かく設定ができたはずだと思い出しました。

設定改善の手順は、以下のとおりです。

ルータ設定の手順(NEC Aterm WG2600HS)

①Webのアドレス欄に「http://aterm.me」と入力してクイック設定Webのログイン画面に入ります。

ユーザー名に「admin」、パスワードに本体裏面のラベルに記載された”WebPW”の「数字6ケタ」を入力してクイック設定Webを起動。

クイック設定Webの初期画面に入ります。

③Wi-Fi(無線LAN)設定→Wi-Fi詳細設定(5GHz)→オートチャネルセレクト機能を「使用しない」に※1→クワッドチャネル機能を「使用しない」に※2→使用チャネルで「W52」を選択→「設定」を押す→(50秒ほどで即時反映します)

※1 初期設定では、「オートチャネルセレクト機能を使用する」となっていて、起動時にW52,W53,W56のうち最も有利な周波数帯を選ぶようになっているようです。

※2 クワッドチャネル機能は帯域を4倍広く取ることで速度が出る機能ですが、接続がやや不安定になります。

これで、5GHzではレーダー波の干渉のないW52帯域に安定的につながることになります。その代わり速度はほどほどです。

設定変更後の通信状況

2.4GHzの通信状況

アンテナ4本のうち常時1~4本で、スピードは並だが100%つながる

2.4GHzのときは前と同じく理想的です。

5GHzの通信状況

アンテナ4本のうち1~2本でつながるか、地球マーク(不通)になる。

でもつながる割合は60%程度から80%程度へとやや向上しました。

レーダー波の干渉による長時間の切断がなくなり、電波微弱による切断のみに限定されたからでしょうか。

新ルータを購入して、悩んで試行錯誤して4カ月。

長い道のりでした。

文殊の知恵のGoogle神に感謝です。

ひとつ感想です。

以前今回のことでWi-Fiに詳しい人に相談したり、掲示板で無数の人に相談したとき、レーダー波の干渉に言及した人は一人もいませんでした。

価格コムのユーザーレビューにレーダー波のことを書いていた人が一人いましたが他のユーザーの反応もなかったし、わたしもその記述の重要性に気づきませんでした。

Wi-Fiの環境(家の構造やルータと子機の位置関係、レーダー波の存否、3周波数帯の混み具合など)は人それぞれなので、5GHzの初期設定が「オートチャネルセレクト」なのはしょうがないかもしれません。

でも、せめて「レーダー波の仕様により、5GHzが頻繁に切れる場合があります。その場合は、オートチャネルセレクトを使用せず、W52帯域に固定することを推奨します」と取扱説明書に記載し手順を明記したら、大勢の人がWi-Fiの接続不良で悩まなくて済むのではないかなとつくづく思いました。

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