炎天下の車中で、ガソリン缶を1週間放置したら

違和感

運転しながら、最近車の調子が変なのかなと思っていました。

ここ数日、車の後ろでぽっちゃんぽっちゃん音がするのです。

「灯油のポリ缶はのせてないはずだし。燃料タンクってこんなに大きな音がしてたっけ」

それに今朝はもう一つさらに違和感。

「カラ…カラ…」とタライが擦れるような乾いた耳障りな金属音が絶え間なくするのです。

「工具ならもっと重いガチャン、という音がして終わりのはず。聞いたことない音だ。こんな音はいったい何から出ている?」

職場に着いたあと、さすがに金属音のほうが気になって駐車場でトランクを空けてみました。

驚愕

どわ!

そこにはなんと、草刈り機の燃料として買った50:1の混合油(ほとんどガソリンと同じ)4Lの缶がスッと立っています。

しかもパンパンに変型してフグのように膨れた姿で!

なんでこんなものが!

ああ…そうか。先週の土日だかにホームセンターで灯油と一緒に混合も買って、トランクに入れてたんだ。

そのまま忘れてしまってたのか。

土日も平日もやけに忙しかったからな。

ええ~…あれから1週間以上たつじゃないか。

昼間の炎天下もずいぶんあったのに。

こんな状態で車をこの駐車場に投げていたのか。

昨日も昼間どれだけ暑かったか。

それでこの姿か。それにしてもこの細長い缶が高速道路や坂やカーブに倒れずに、よくこうやって立ってたモンだ。

しかしこりゃ、危険だわ。

その姿は今にも、爆発しそうです。

家からは…エアコンで冷房しながら運転してきましたが、缶はフグのように膨らんでいまにも缶が壊れるのか漏れて気化するのかいきなり爆発かわかりませんが、大惨事になりそうです。

ここを離れなくては。

いや、缶を冷やさなくては。

てゆうか、今すぐ緊急処理しないと間に合わないかも。でもどうやって?

パニックで頭がまともに回りません。

缶を車から下ろしたり乗せたりしながら、どうしたものかと灼熱の駐車場で考えます。

「駐車場でガソリン缶バクハツ」という新聞記事が頭をよぎります。

パニックになりながら、職場に連絡して今日は休むと言っておき、この場所から離れるべくとりあえず車に乗りました。

対処

といっても、家の方向に車を走らせながら、どうして良いのか分からない。

被害を最小限に食い止めるには…

とりあえず車のエアコンはよく効かせておいて…

窓も閉めて。

あれ、でも閉めた状態でバクハツしたら一気にオレ丸焦げ、

火の車じゃね?

「ガソリン缶バクハツ、火の車」という新聞記事が頭をよぎります。

家の方向に車を走らせながら、窓を開けたり閉めたり、忙しいです。

ああ亜…でもこんなことしててもラチがあかない。

グルグル回ってても何の解決にもならない。オレしろうとだし、ガソリンのこともよく知らないし、今どういう状態なんだ。

誰かに聞いて何とかしなければ。どこへ行けば?

詳しい人 誰だ…。

ホームセンターに行ってみたけどまだ準備中、10:00開店でした。

ったく、8時に開店しといてよ ><

停めたり、発進したり忙しいです。頭が空回りします。

発見

他にホームセンターはないかあてもなく右往左往しながらぐるぐる走り回っているうちに、ある看板が目に入りました。

「消防署」

ああ、なんということでしょう。

神はいた。

犬も歩けば棒にあたるです。

もう体裁なんかとりつくろってはいられません。

飛び込むと、窓口の若い人に一通り説明しました。

「…というわけでどうしたらいいかわからないんです!

教えてください。」

プロ

そしたら、広~い部屋に暇そうに座っていた15人くらいの人たちが、なんと、ゾロゾロとみんな出てきました。

「わかりました。で、それはどこに?」

「外の。外の車の中にあります!」

トランクを空けて、立って膨らんだ混合缶を見せます。

「ああ。これね~」中でも屈強な、ガソリンに詳しそうな30代くらいの人がフグのような混合缶を手にとります。

そうして、膨らんだ様子や、内側から小人が叩きまくったみたいに不気味にとがって変型した缶をためつすがめつ見ながら、説明してくださいました。

「ああー。コレ大丈夫ですよ。もう圧も抜けてるようですしね。蓋空けてもだいじょうぶです。

何も起こりませんから。

「ほんとですか?ああー、よかった。」

「だから、持って帰ってふつうに使ってください。ただ、缶は暑くないところにおいてくださいね」

さすがです。プロにかかると、急転直下の解決です。

思い切って、とびこんでよかったー。(´д`)

復習

農家っていうのは、仕事柄いろんな物を扱います。

農薬など劇毒物。草刈り機など危険機械。

ガソリンなどの発火燃料。

機械の講習を受けていなくても、危険物の資格がなくても、必要に迫られて使わざるを得ないんです。

でももちろん、扱うモノの性質が分かっているわけでは必ずしもないです。

だから、こんなことになるんですね。

(買ったの忘れなければ、そもそもならないけどね;)

この際、頭の整理として、ちょっと調べてみました。

ガソリンの性質

発火温度  300℃くらい。

だから、意外なことに常温ではいくらそれ自体が暖まっても発火しない。

引火温度  -40℃くらい。

だから、気化した上で引火する火気があれば簡単に引火する。

ガスが密室に溜まった状態で引火すれば、一気に爆発する。

反省

今日は九死に一生を得た一日でした。

消防署の方に命を救っていただきました(ような気がしました)。

プロというのはたいしたものです。

まったく、今後消防署に足を向けて寝られません。

気の緩みからすべてを台無しにすることもあります。

一度なくした命です。

無事に生き直せることに感謝しつつ、「違和感を感じたらスグサマ確認する。」

このことを肝に銘じて、気を引き締めて、明日から生き直したいと思います。

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