確定申告 ~ 給与所得の源泉徴収票を理解して、所得税・住民税を節税する

源泉徴収票の意味

サラリーマンは毎年1月に自分の所得税法上の扶養関係を記載した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を会社に提出します。

その扶養控除の想定で、会社は毎月所得税の源泉徴収を行い、年末には「給与所得者の保険料控除申告書」も提出させて、扶養控除、保険料控除を確定させて1月~12月の1年間の年末調整を行い、所得税源泉徴収の過不足を精算します。

そうして翌年1月には、所得税関係の”基本的な”要素の詰まった「給与所得の源泉徴収票」を本人に交付します。

ですから、源泉徴収票は1年間の所得税の総決算といえます。

源泉徴収票の構成

確定申告をしないサラリーマンでしたら、去年はこんなことかと源泉徴収票を見てクリアブックにでもしまってそれで終わりです。

ですが、確定申告をするサラリーマンにとっては源泉徴収票をもらうことが確定申告の始まりです。

なぜなら確定申告とは、申告者の立場で考えると、源泉徴収票をもとにして「源泉徴収税額(すでに取られている税金)」をいかに0に近づけるかを考える作業とも言えるからです。

それをするためには、まず源泉徴収票の要素を踏まえて、自分で計算してみて完全に理解する必要があります。

源泉徴収票は計算の流れがところどころ省略されており、一見理解しづらく作られていますので、省略された金額も自分で補足しながら全ての数字を理解する必要があります。(①~⑥赤字の部分)

①支払金額

会社が払った全ての金額、社員にとっては給与の「総収入」が記載されています。

②給与所得控除額(源泉徴収票に載っていません)

サラリーマンは「給与所得控除額表」による自動計算により、収入金額に応じておおむね2~3割程度の「経費」を認められています。

給与などの収入金額 給与所得控除額
162万5,000円以下 65万円
162万5,000円超180万円以下 収入金額×40%
180万円超360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超1,000万円以下 収入金額×10%+120万円
1,000万円超 220万円

③給与所得控除後の金額

①ー②です。

しかし、②の計算どおりにはならず、若干の誤差が出ます。

それは、660万円以下の収入の場合、実際には②の表で計算するのではなく、4千円刻みの早見表により算出しているからです。

早見表

④所得控除の額の合計額

源泉徴収票の所得控除は、二つに大別できます。

社会保険料の金額、生命保険料の控除額、地震保険料の控除額、等の保険料と、扶養控除です。

扶養控除は対象親族の氏名と人数のみが載っていて、金額は載っていないので、別表を参照して控除金額をあてはめる必要があります。

⑤所得控除後の金額(=課税所得)(源泉徴収票に載っていません)

③ー④です。

この課税所得に、金額に応じた所得税率を掛けると所得税額が算出されます。

⑥所得税額

⑤×所得税率 です。

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

確定申告で追加できる所得控除と住民税への節税効果

会社の年末調整では、”基本的な”所得控除、つまり保険料控除及び扶養控除しか扱わないのは上記のとおりです。

一方 これ以外に、確定申告で追加できる所得控除があります。

これにより、所得控除を増やし、所得税や翌年の住民税を節税できます。

追加できる所得控除の主なものは下記の3つです。

1 雑損控除

雑損控除は、生活に通常必要な資産について災害や盗難などによって損害を受けた場合に、その損失の一部を所得から差し引くことができる所得控除です。

原因は、次のようなものがあります。

1.震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
2.火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
3.害虫などの生物による異常な災害(シロアリ被害など)
4.盗難
5.横領

金額が大きければ医療費控除と同様、節税効果も大きいですが、偶発的に出てくる控除ですので、計画的な計上はできません。

2 医療費控除

家族全体の医療費を合計し、10万円を超えた金額を計上できます。

医療費が毎年10万円を超えるような家庭では毎年計画的に計上でき、医療費が大きければ節税効果も大きいです。

3 寄付金控除

身近なところでは、ふるさと納税があります。

ふるさと納税額から2,000円を除いた金額を寄付金控除に計上できます。

【例】たとえば課税所得300万円の人でしたら、所得税率10%となりますから⑥の表に従い、202,500円の所得税を納めます。

一方で、課税所得に対して翌年の住民税として10%(=県民税4%+市民税6%)の30万円を納める見込みとなります。

その場合、ふるさと納税できるのは翌年の住民税の2割、6万円です。

仮に6万円の枠 全部をふるさと納税すると、返礼ルールによって価値的には3割程度、18,000円の返礼品(現物利得)が得られます。

なおかつ、ふるさと納税額から2,000円を除いた58,000円の寄付金控除ができますから、この10%、5,800円の所得税の節約ができます。

併せて、ふるさと納税の制度で、寄付金控除の全額58,000円が、翌年の住民税から差し引かれます…※

つまり、現物、所得税の節約、住民税の節約の合計(18,000円+5,800円+58,000円)ー支出60,000円=21,800円の利得となります。

収入が毎年同じであれば、ふるさと納税することで、毎年確実に21,800円の利得が発生するわけです。

ふるさと納税は、いびつな制度が確実な利得を生み出す、錬金術の例です。

※こうした住民税の意図的な変更は、住民税額を基準としている制度に影響を与えます。

高校の授業料免除は住民税の均等割額(=課税所得額の10%)が507,000円未満であれば受けることができますが、住民税が58,000円も減れば、本来対象外の 高収入家庭のうちかなりの部分が免除の対象になるでしょう。

その利得は9,900円×12月=約118,800円/年にも上ります!

これは、ふるさと納税制度が引き起こす、さらにいびつな副次的影響です。

確定申告で調整(付け替え)できる扶養控除

源泉徴収票を確認した結果、必要であれば確定申告で配偶者間の扶養控除の付け替えができます。

特に夫婦のうち一方の源泉徴収税額が0となっている場合、課税所得がマイナスになっている分だけムダが生じています。

つまり、扶養控除により節税できるものを、していないということです。

源泉徴収票でそれが確認できたら、もう片方の配偶者に確定申告で扶養控除を付け替えることで、扶養控除を有効に生かして家計全体の所得税(及び翌年の住民税)が圧縮できるわけです。

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