児童手当とは
現在の児童手当をご存じでしょうか。
児童手当は、中学三年生までの児童一人に対し、月額10,000円~15,000円がもらえる制度です。(所得制限を超える場合は、特例給付として月額5,000円に減額されます。)
具体的には下表のようになっています。
支給月額(児童1人あたり)
児童の年齢 | 所得制限未満「児童手当」 | 所得制限以上「特例給付」 |
---|---|---|
3歳未満 | 月額15,000円 | 月額5,000円 |
3歳~小学生(第1子・第2子) | 月額10,000円 | 月額5,000円 |
3歳~小学生(第3子以降) | 月額15,000円 | 月額5,000円 |
中学生 | 月額10,000円 | 月額5,000円 |
児童手当をキチンともらうのにはちょっとしたコツがあります。
もらいっぱぐれることのないように、できるだけ制度に合った生き方やりかたをしましょう。
わたしの場合
わたしの場合は、児童手当には苦い思い出があります。
余談ですがそのことをまず、お話ししたいと思います。
児童手当と言っても、今の前の「子ども手当」の、そのまた前の「児童手当」です。
その頃の児童手当は、今の児童手当と同様な所得制限があり、ほぼ似たような制度でした。
ただひとつだけ、大きく違う点がありました。それは、
「所得制限を超えたら手当は1円ももらえなかった」ことです。
わたしは平凡なサラリーマンでしたが、子どもが生まれてからすぐに所得制限を超えてたびたび何年間も「児童手当をもらえない」状態になっていました。
同じ赤ちゃんが生まれて、人はもらえてわたしはもらえなかった。
なぜでしょう?
答えは、「わたしが高齢だったから」です。
二人の息子はわたしが40を超えてから生まれました。
40を越えた頃にわたしの所得はピークで、「年齢のせいで」所得制限に抵触していたのです。(それからは今に至るまで、漸減しています)
子どもができたのが遅かったので、まわりの同じ赤ちゃんを持つ人たち(25~35くらいの年齢層)に比べて年齢相応に年収が高かっただけです。
いまの「児童手当」も、所得制限を超えたら0にならないまでも減額されてしまいます。
「児童手当は」生涯年収の高低は関係ありません。
「目先の所得」によって左右されてしまうものなんです。
今の児童手当もその点は同様です。
目先の所得が高ければ減額され、目先の所得が低ければふつうにもらえます。
つまり、「なるべく若いときに子どもを作った方が児童手当をもらいっぱぐれない」ということです。
それは、今の児童手当も同じです。
児童手当の所得限度額
児童手当の所得制限はその頃とあまり変わっていません。
その「所得限度額」の理解が、児童手当 活用のキモになります。
【児童手当所得制限限度額表】
扶養親族等の数 所得額 収入額(単位:万円)
0人 622 833.3
1人 660 875.6
2人 698 917.8
3人 736 960
4人 774 1002.1
5人 812 1042.1
要点がいくつかあります。
①所得限度額未満なら「児童手当」(満額)。
所得限度額以上なら「特例給付」(減額)になる
受給者の所得がはじめから所得制限未満であれば、それ以上なにも考える必要はありません。
②年収はただの目安。あくまで所得が基準になる。
年収は会社からもらった全てのお金です。
所得は、それから経費を除いた金額です。
事業主だと経費は自分で確定申告をして決まりますが、サラリーマンは「給与所得控除」といって、年収に一律の計算式を掛けて経費としてしまいます。
だいたい年収の2,3割です。
所得税の基礎になる金額がそれだけ減るから、所得税もそれに応じて減るわけですね。
一般に収入の多寡を考えるとき、年収で見る方法と所得で見る方法があります。
結局どちらにしても、多寡の判断としては同じようなことになります。
③児童手当の受給者は夫婦のうち所得の高い方である
限度額表の対象は、夫婦のうち所得の高いほうです。奧さんの所得が650万円で旦那さんの所得が640万円だったら、奧さんの所得が対象になります。
旦那さんの所得は?
無視されます。
一般に年収や所得が要件になるとき、夫婦合計を考える制度と、高い方のみを考える制度があります。
家庭の児童扶養力の捉え方としては前者(夫婦の合計)の方が適切だと、個人的には思います。
ですが児童手当は、後者です。
受給者の所得のみで手当額が決まります。
④扶養親族が多ければ、制限は緩くなる。
表を見ると、扶養親族が1人増えるごとに制限が38万円緩くなっているのが分かります。
扶養の出費(一人年間38万円と想定)があるからには、その分「実質所得は低いと見なければならない」ということです。
これは何を意味しているでしょうか。
そうです。「児童手当の受給者に扶養を付ければ、所得限度額が高くなり、受給額が減額される可能性が低くなる」ということです。
【例】所得650万円の奥様が児童手当の受給者とします。
1歳と2歳の子ども二人の扶養を何かの理由で所得640万円の旦那様に付けたとします。
すると扶養のない奥様の所得は所得限度額622万円を上回ってしまい、二人の子どもの児童手当は月15,000円/人→(特例給付)5,000円/人となり、年間では24万円も損してしまいます。
受給者である奥様に扶養を付けておけば、所得限度額698万円となるため手当は満額月15,000円もらえていたことになります。
⑤給与所得以外の所得
給与所得以外の所得、例えば不動産所得、農業所得、譲渡所得、一時所得なども全て所得額に反映されます。その所得が多いほうが、受給者となります。
受給者の所得が所得限度額ギリギリオーバーの場合は、上記のような管理可能な所得を抑えて所得限度額未満とすれば、児童手当を満額もらえる可能性があります。
特に注意すべきは、株式譲渡益は所得ではありますが「児童手当判定上の所得」には含めないことになっています。
これが税務当局の見解であり通知も出されています。
株で儲けたせいで児童手当が減ることはないので、存分に儲けていいということです。
ただし市町村役場の税務担当者はこの点をよく理解していないことが多いです。
ですが丁寧に説明すれば調べた上で必ず「株式譲渡益を差し引いた最終所得」で所得判定をしてくれるので、その労を惜しまないことです。